英語学習者であれば、よく耳にするであろう「英語脳」という言葉ですが、これはつまり、母国語を介さずに英語を聞いて考えて理解して話せるということだと思います。
わたしたち日本人はたいてい学校で「和訳」というやり方で英語を勉強してきます。
ですので「英語脳」とはほど遠い状態にいるのが普通だと思いますが、今回はそれをどのようにして獲得していくかについてお伝えしたいと思います。
英語脳を作るためにやるべきことはシンプルです。
- 英単語とイメージを直接繋ぐクセをつける
- 英文を読み返さずに「頭から理解する」トレーニングをひたすら積む
- 英英辞典をひきまくる
以上です。
従来の学校英語的な考えを捨て、意識的に「英語脳」を作っていこうとすることが、あなたの英語力を飛躍的にアップさせてくれます。

本記事の内容
■日本人は皆すでに英語脳を持っている
この記事の冒頭に、英語脳とは「母国語を介さずに英語を聞いて考えて理解して話す」ができる状態と書きましたが、これは具体的に言うとどういうことなのでしょうか。
その答えはものすごく単純で、われわれが日本語をどのように理解し使いこなしているかを考えればわかりやすいと思います。
英語脳とはかんたんに表現すると「英語とイメージが直接結びついた状態」だと言えます。
例えば
Apple=りんご=りんごのイメージ
となると、これは間に日本語が挟まっていますのでこれは「英語脳」ではありません。
英語脳を作る、というのは
Apple=りんごのイメージ
という状態にするということです。
と、、、 ここまで読んで気づいた方もいるかもしれませんが、実は私達日本人は部分的にはすでに全員「英語脳」を持っています。
例えば
calendar(カレンダー)
と聞けば、一発でカレンダーのイメージが思い浮かびますよね?
他にも
・ギター
・バイオリン
・ドラム
・スプーン、フォーク、ナイフ、、、
以上のようないわゆる外来語というものであれば、すでに日本語を介さずに理解しているはずです。
こういったことは当たり前過ぎて普段考えることもないと思いますが、このような言葉に関して言えば、われわれ日本人も「英語脳」を持っているといえるのです。
英語の脳を手に入れるためには、最終的に、すべての英語に対して「スプーン、フォーク、ナイフ」のように「強固なイメージ」を結びつけることができれば良いわけです。
■日本語に訳してはいけない?
よく「英語脳」を獲得するためには、日本語訳に頼ってはいけない、使う辞書も英和辞典ではなく英英辞典にすべきだ、と言います。
これは本当でしょうか?
この説は、確かに一理あります。いつまでも英和辞典に頼っていては、本物の英語力はいつまでたっても見についてはいかないでしょう。
しかし、学習の初期からこれにこだわってしまうのはおすすめしません。
覚えたい単語が「物の名前(名詞)」なら写真や絵と照らし合わせて学習できるかもしれませんが、もっと抽象的な表現の場合は、それを日本語を介さずに理解しようとするのは無理がありますし、非常に非効率だと言えます。
ただし、日本語の力を借りるといっても、一つの単語に対して一つの意味を機械的に記憶していく、というような従来の試験対策的なやり方はしない方が良いでしょう。
単語の意味は、当然一つだけではなく、使われる状況によってかなり意味が変わってくるからです。
〇〇(英語)=●●(日本語)
みたいな覚え方をしてしまうと、場合によってはとんでもなく的はずれな理解をする羽目になる、もしくは、全く文章の意味が通らなくなってしまいます。
そして、一番まずいのは「〇〇(英語)=●●(日本語)」という風に単語を暗記してしまった場合、何か英語を読んだり聞いたりした時に”反射的に”日本語が頭に浮かんでしまい、なかなか英語脳を作っていくことができなくなってしまうのです。
大切なことは、単語の意味は日本語で確認し、それを出来る限りイメージに変換して記憶することです。
以上のことを考えた場合、単語は単体で記憶するのではなく、文単位で覚えていくのが一番良い方法だと言えます。
■最初は日本語を力をおおいに活用し、徐々に英語のみの世界へ
大昔の辞書ならともかく、最近の良質な英和辞典であれば、一つの単語に対して一つの訳しか書いていないということはなく、しっかり読み込んでいけば、かなり的を射た本来の意味に近い訳を見つけることができます。
それに、最初からそこまで「英語を英語で理解する」にこだわらなくても、英語力がアップするに従って、少しずつ日本語の助けを借りずとも英語を英語のまま理解することはできるようになります。
文章単位で学習していけば、これは自然に起こることです。
現に私自身、英英辞典で単語を調べて理解できますが、それをいちいち日本語で考えているかというと、そうではないからです。
場合よっては、英文を読んで意味はわかるけど、これ日本語だったらなんて言えばいいんだろう?と思う時すらあります。
これは、つまり英語を英語のまま理解している、ということです。
■どの段階で英英辞典にチェンジすべきか
最初の頃は、意味のわからない英語に出会ったときは、遠慮なくガンガン英和辞典で引きまくってください。
ただ前項でも書いたとおり、最近の辞書は一つの単語に対して、網羅的に意味がしっかり記載されている上に、しっかり例文も挙げられているので、ちょっと単語の意味を確認するだけではなく、しっかり読み込んでみることをおすすめします。
そういった学習を続けていくうちに、辞書を引かずとも意味を理解できるケースが増えてくるのを感じると思います。
そうなってきたら、試しに英英辞典で意味を調べてみることにチャレンジしてみてください。
当然、いきなりスラスラ理解できる、とはならないとは思いますが「多少わからない単語があるけど、なんとなく理解できるかも、、、」というのであれば、それ以降は積極的に英英辞典を使うようにし、必要に応じて英和辞典も用いるハイブリッド方式にすると良いでしょう。
■英英辞典初心者が調べるべき単語
英英辞典を使った学習にスムーズに入るコツをここで一つお伝えします。とりあえず最初は「わからない単語」の意味を調べるのではなく、「すでに理解している単語」を引くようにしてください。
なぜなら、いきなり意味のわからない単語を英英辞典で引いてしまうと、それこそなにがなんだかわからなくなってしまう場合があるからです。
ですので、あくまでも最初は英英辞典の説明文になれるために、すでに知っている単語を調べてみてほしいのです。
英英辞典で調べて意味が理解できると、最初はとても嬉しいものですし、学習自体が楽しくなっていきます。
■英語脳を鍛えていくための具体的な方法
さて、ここまで英語脳をつくるためのざっくりとした概要部分をお話ししました。
ここからは、具体的なトレーニング法やその際の注意点について、私の実際の体験も交えながらお伝えしていきます。
これを意識するかしないかでとんでもく学習効率が違ってきてしまうので、しっかりと理解した上で実際に学習を進めていってください。
■自宅でハイレベルな英語力身につけるための奥義「音読」
このブログでは、退屈な文法書による学習や、単語帳を使った機械的な単語暗記を完全に排除した、英語を感覚的に理解する勉強法を提唱しています。
この場合、学習する時は、基本的にほとんどすべての時間を「音読」に充てます。
ただ、ここで一つ注意点があります。
基本的な発音を覚えて、英文がスラスラ読めるようになってくると、それが気持ちよくなってきて「いかにネイティブっぽく読めるか」に夢中になってしまいがちなのですが、そこに大きな落とし穴があります。
■私の失敗「口だけ英語」
かつて私は「とにかくネイティブスピーカーのようなカッコいい発音を獲得したい!」という熱い気持ちに突き動かされて、毎日何時間もひたすら英語教材のCDの聴き、それを真似するということに没頭していました。
当然、それだけ熱中して練習していれば、英文をかなり「それらしい発音」で読めるようになります。下手をすれば、中途半端な帰国子女よりもきれいに発音できるようになる人もいるでしょう。
ところが、そういった「ただ音を真似た練習」ばかりに集中していると、発音はどんどん流暢になってはいくものの、肝心の英語力は、ある一定のレベルからは頭打ちになってしまうのです。
それはたとえ「意味を理解した文章」の音読トレーニングを積んでいたとしてもです。
もし、自宅での音読練習で会話力も飛躍的にアップさせたいというのであれば、「スラスラ音読」だけでは限界があります。
実際にわたしはかなりの時間をこの音読に充てましたが、読むのはうまくなったものの、ある段階からは全く上達が感じられなくなってしまいました。
「音読」は素晴らしい学習法ですが、そこに一つ工夫が必要になってくるのです。
■英語力を総合的に引き上げてくれる音読法
ただただ流暢に読むことを目的とした音読を繰り返していても、なかなか総合的な英語力(特に実用的な英語)は上がっていきません。
もしかしたら、そういうやり方でも何万時間も続けていれば何かが変わってくるのかもしれませんが、日々上達が感じられないやり方では、やがて燃え尽きてしまうでしょう。
ではどうすれば「音読」によって、効率的に総合的な英語力をアップさせていけるのでしょうか。
発音やイントネーションのみにフォーカスした音読は、ある意味思考停止状態を招きます。自分の口から出ている音がよくなれば、それで満足してしまい、本来であれば英語力全体を引き上げてくれるはずの音読が、ただの発音練習になってしまうのです。
そうならないためには、まず、音読する時に「勢いでスラスラと読んでしまうこと」を一旦やめる必要があります。
音読練習によってある程度発音が固まってきたのなら、そこからは音にフォーカスするのではなく、一つ一つの単語のイメージや意味の切れ目、意味の繋がりに全神経を集中させてください。
発音のみこだわった練習を続けていると、極端な話、いまいち意味が理解できない状態でもスラスラ読んでしまうようになります。
そうではなくて、音読をする時は、しっかり頭の中での文章の理解、イメージ化のスピードに合わせた速度で読むことが重要なのです。
よく考えてみてください。
あなたが日本語を話す時、抽象的なイメージを言葉にする場合に、どのように文章を作っていますか?
音読のように次から次へとスムーズによどみなく話していますか?
そうではないはずです。
たとえ母国語であっても、ノンストップで話し続けることはできません。
話す時は、確実に頭の中でリアルタイムに文章を作り上げているはすです。
ですから、もしあなたが、旅行の英会話のような決り文句だけではなく、しっかりとした英語力を身につけていきたいのであれば、頭の中で文章を作り上げる練習を何度も何度もする必要があるのです。
機械的な音読練習だけでは、そういった力を身につけることはなかなか難しいでしょう。
■まずは焦らずにゆっくりやるのがコツ
とにかく英語学習で大切なことは「焦らずに積み上げていくこと」。これに尽きます。
焦ってしまうと、明らかに集中力も低下しますし、まだちゃんと理解できていないのにも関わらず、次々と色々なテキストに進んでいってしまう「やってるつもり学習」に陥りがちです。
じっくりとワンセンテンスと向き合う。
そういった確実な積み重ねが、結局は回り道のようで、最短の学習だと思います。
■英語脳を育てるためのおすすめ教材
音読に使う教材はなんでもいいのですが、発音がある程度身につくまでは、かならずCD付きの教材を選ぶようにしてください。
そして、必ずそのCD音声と自分の発音を照らし合わせて、少しずつ修正していく。
ある程度学習が進んで、CDが無くても大丈夫そうだな、となったら、是非試していただきたいのが英英辞典の定義文の音読です。
▼ちなみに使う辞書は間違いなくこちらがおすすめです
なぜおすすめかというと、コリンズコウビルドの場合定義文が「フルセンテンス」であり、会話でも使えるような「口語体」になっているからです。
コリンズコウビルド英英辞典についてはこちらの記事をごらんください。
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■まとめ
この記事では「英語脳」を効率的に作っていくための、重要なポイントをいくつかご紹介しました。
大人になってからでも、継続的な学習によって「英語脳」を作っていくことは十分可能です。
ぜひ、この記事の内容を参考にしていただき、焦らずに確実な学習を積み重ねてみてください。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。